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★ 犬は私たちを愛する。
 
犬は自分の家族である人間を救うために命を投げだすし、守るためには攻撃的にもなる。第二次世界大戦ではそうした話が数多く伝えられたが、なかでももっともよく知られているのは、1943年に敵の兵士を塹壕から追いだしたチップスという名前の犬だろう。チップスのハンドラーであるローウェルが、浜辺全体を見渡すイタリア軍の塹壕からの猛烈な攻撃に、死をも覚悟したそのとき … 。
チップスが唸り声を上げ、立ち上がった。
ローウェルの制止を振り切って飛びだしたチップスは、敵軍の塹壕目指して浜辺を突進した。
イタリア軍の射撃手たちは走る犬に狙いを定め、銃弾が彼の足元の砂を舞い上げて降り注いだ。一発が彼の頭皮をかすめた。もう一発が尻に命中し、チップスは一瞬ひるんだが、すぐまた塹壕めがけて走りだした。
ローウェルの目に、チップスがバリケードを躍り越え、塹壕の中へ消えるのが見えた。機関銃の音がやんだ。中で何が起きているのか、ローウェルからは何も見えなかった。
しばらくして、イタリア兵が塹壕から飛びだしてきた、何か叫んでいる。
チップスはその兵士の喉首に離すものかとくらいつき、兵士は犬の猛攻から逃れようと必死にあがいていた。
その後ろに、三人の兵士が白旗を掲げて塹壕からでてきた。
チップスは米陸軍の銀星章を授与されたが、のちに戦争局は犬には陸軍の栄誉を受ける資格はないとしてこれを無効にした。当のチップスはこの侮辱を気にとめた様子はない。


【Mr,ジェフリー・M・マッソン氏著作「犬の愛に嘘はない」 より】

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